直流と交流の違い
私たちの身近に使用している電気といえば、乾電池やバッテリー、コンセントなどがあります。同じ電気ですが、大きな違いがあります。それは、電気の流れ方によって、直流(DC)と交流(AC)と分けられています。
直流と交流とは
直流とは、時間の経過に対して、電流と電圧の方向が変化しない電気の流れ方です。下図に示すように、乾電池に豆電球を繋いだら、豆電球が点灯します。このとき電線に流れている電気は直流です。電流が常に乾電池の正極から負極に流れていて、変化しません。電気の流れる方向があるため、正しい極性を接続する必要があります。乾電池を付けて使う懐中電灯や時計、テレビのリモコンなどは、直流の電化製品です。
交流とは、時間の経過に対して、電流と電圧の方向が周期的に変化する流れ方です。下図に示すように、壁のコンセントにプラグをさして、電化製品を動作させるとき流れている電気は交流です。電気の流れる方向が行ったり来たり、繰り返しているため、極性に関係なく、プラグをどちらの向きにさしても使えます。また、電流の流れる方向が、1秒間変化する回数を表す言葉は、周波数といいます。単位はヘルツ(Hz)です。
交流送電のメリット
テレビやパソコンなどの電化製品は、壁のコンセントにプラグをさせば起動できます。しかし、多くの電化製品の内部回路は、交流電源のままでは動作できません。機械の中で、一度直流に変換しています。それならば、発電所から住宅まで直流のまま送電すれば、変換の手間もロスもありません。なぜわざわざ交流で送電するのでしょうか。それは、交流電源の電圧は常に変化しているため、電圧を変えやすい特徴があります。電化製品には色々な種類があり、使用する電圧も異なります。発電所から交流電源を住宅まで送ってきて、電化製品の内部でそれぞれに応じた電圧に変えます。この送電方法により、送配電設備コストを最小限に抑えることが可能です。
地域による電源周波数の違いについて
日本では、地域によって発電所から供給される電気の周波数が違います。1秒に50回方向が変化する電気(周波数50Hz)と、60回変化する電気(周波数60Hz)があります。周波数50Hzと60Hzの境界線は、ほぼ静岡県の富士川と新潟県の糸魚川に沿っています。東側が50Hz、西側が60Hzです。地域によって周波数が異なるのは、東日本と西日本の発電所で使っている発電機が違うからです。糸魚川など一部の地域では、50Hz、60Hzが混在しています。最近、ほとんどの電化製品は50Hzでも60Hzでも問題なく使えますが、周波数が違うと故障する機器もありますので、電化製品を使う前に、取扱説明書や電気仕様を確認する必要があります。